株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)は、同社の「IIJ電子@連絡帳サービス」(以下、電子@連絡帳)が、東京都八王子市で2026年10月から正式に導入されたと発表しました。子育てや介護などで複合的な生活課題を抱える住民を支えるため、医療・福祉・介護・行政などの専門職が、支援を必要とする地域住民の情報を共有し、分野を越えて連携する目的で活用されます。
人口55万人超の市で、分野を越えた情報共有を
電子@連絡帳は、支援を必要とする地域住民の情報を専門職同士で共有し、連携するためのITサービスです。八王子市は人口が55万人を超え、市域も広い自治体です。同市では、地域の福祉関係機関や医療機関などが電子@連絡帳を通じて、支援対象者の情報や支援状況を共有します。あわせて市は、市内13ヵ所にある福祉総合相談窓口「八王子まるごとサポートセンター(はちまるサポート)」の支援状況を把握し、各窓口と連携して必要な支援を行います。
一つの世帯が複数の問題を抱えるケースが課題に
近年、自治体にとって大きな課題になっているのが、一つの世帯が複数の問題を抱えるケースへの対応です。子育てと介護を同時に担う世帯や、高齢の親と中高年の子がそれぞれ生活上の困難に直面している世帯などが例として挙げられます。さらに、生活困窮やひきこもり、社会的孤立など、住民の抱える問題は複雑化・複合化しています。単一の組織だけでは対応が難しいことから、自治体では行政と関係機関が分野を越えて連携する重層的な支援体制の整備が進められています。
八王子市は、地域共生社会の実現に向けて2021年度から重層的支援体制整備事業に取り組んできました。はちまるサポートには八王子市社会福祉協議会のコミュニティソーシャルワーカー(CSW)が常駐し、年齢や障がいの有無などを問わず住民の相談を受け付けて支援する体制を整えています。一方で、支援対象者ごとに複数の関係者が関わることから、支援状況を迅速かつ柔軟に共有できる仕組みの整備が急がれていました。市が13ヵ所の拠点で進む支援状況を把握し、拠点と連携して支援にあたる体制も求められていたといいます。こうした状況を受けて、同市は2025年10月から電子@連絡帳を試行的に導入し、その結果を踏まえて今回の正式導入に至りました。
相談窓口から「支援会議」まで幅広く活用
はちまるサポートでは、住民から寄せられた相談の内容や状況に応じて、市の担当部門や地域の関係機関と必要な対応や役割分担を検討します。支援対象者の登録ははちまるサポートの職員が行い、情報共有機能を使って対象者の情報や対応の経過を共有しながら、関係者が連携して支援にあたります。
また同市は、重層的支援体制整備事業の枠組みの中で開かれる「支援会議」にも電子@連絡帳を活用しています。支援会議は、市の担当部門や地域の関係機関など多機関が連携し、複合的な課題を抱えるケースへの支援を検討する場です。国でも多機関協働事業に市町村がより主体的に関わるよう制度の運用が見直されており、同市の取り組みはこの動きにいち早く対応したものとされています。
全国76の区市町村で30,000人以上が利用
電子@連絡帳は、医療・福祉・介護・行政など地域のくらしを支える専門職をつなぐ「多職種連携・多機関協働プラットフォーム」です。支援対象者ごとに、行政職員、コミュニティソーシャルワーカー、保健師、ケアマネジャー、医療職などの関係者が広く参加できる情報共有の場を設けられます。主な機能は次のとおりです。
- 対象者の状況や各関係者の対応内容を共有できるチャット機能など
- 添付ファイルの共有
- アンケートによる日程調整機能
- 地域の医療・福祉・介護などの施設を地図上で確認できる地域資源マップ
これらの機能により、組織や専門分野を越えた連携を実現し、関係者による継続的な支援に活用できるとしています。現在、全国76の区市町村において30,000人以上の医療・福祉・介護関係者に利用されています。IIJは今後も電子@連絡帳の提供を通じて、地域包括ケアや重層的支援体制の整備に貢献していくとしています。
八王子市「切れ目のない支援に期待」
八王子市福祉部共生社会推進課は、今回導入した「はちまるサポート電子@連絡帳」について、医療、介護、福祉、保健、教育、行政などの関係機関が支援方針や支援経過を安全かつ円滑に共有する多機関協働の基盤となるシステムだと説明しています。関係機関同士の連携強化に加え、複合的な課題を抱える方への切れ目のない支援が期待されるとしています。同市は今後も、デジタル技術の活用と関係機関との連携を通じて、誰もが地域で安心して暮らし続けられる地域共生社会の実現を目指すとしています。