中小企業向けに経営支援を手がける株式会社ルミッション(東京都港区)は、2026年10月23日(金)から「クロスセル設計テンプレート」の無料提供を始めました。既存顧客に追加で何を提案するかを、営業担当者の経験や勘に頼らず、仕組みとして設計するためのツールです。「顧客はいるのに売上が伸びない」「顧客単価を上げたいが、追加で提案できる商品が思いつかない」といった悩みを抱える経営者が対象です。
新規獲得に偏った経営が抱える構造的な弱さ
売上を伸ばそうとすると、多くの中小企業はまず新規顧客の開拓に力を入れます。広告出稿、営業人員の増強、Webサイトの改善、SNSの活用などはいずれも欠かせない取り組みです。ただ、最初の取引が終わった時点で顧客との関係が途切れてしまうと、次の売上をつくるために再び新規開拓から始めなければなりません。
同社は、既存顧客には最初の商品・サービスでは解決しきれなかった課題や、その後に新しく生まれる課題があると指摘しています。たとえばWebサイトを制作した企業なら、公開後の集客、広告、SEO、SNS運用が次の課題になり得ます。採用支援を受けた企業であれば、入社後の教育、評価、定着、組織づくりが課題になります。システムを導入した企業では、運用、業務改善、社員教育、データ活用といった課題が残りがちです。こうした「次の課題」を見つけて解決策を提案することこそがクロスセルの本質であり、「何を追加で売るか」ではなく「顧客の次の課題をどう解決するか」という発想が重要だというのが同社の考えです。
8つの要素でクロスセルを設計する
テンプレートでは、既存顧客の整理から始め、顧客の課題とニーズの把握、自社の商品・サービスの棚卸し、関連商品の組み合わせ、不足するサービスや協業先の検討、提案タイミングと営業導線の設計を経て、最後に顧客単価・利益・LTV(顧客生涯価値)を検証する、という順番でクロスセルの可能性を洗い出します。新しい関連商品を開発するだけでなく、自社の技術やノウハウを別の商品として切り出す方法や、他社の商品・サービスと組み合わせる方法も検討の対象です。テンプレートは次の8つの要素で構成されています。
- 既存顧客・ターゲットの整理:業種、企業規模、購入商品、契約内容、取引期間などで顧客を分類し、優先して取り組む層を決める
- 顧客の課題・ニーズの整理:商品やサービスを利用する前後に生じる課題を、顧客の業務の流れに沿って洗い出す
- 自社の商品・サービスの棚卸し:技術、ノウハウ、人材、設備、顧客基盤まで含めて整理し、新たな商品化の余地を探る
- 関連商品・サービスの組み合わせ:導入支援と運用支援、制作と集客、採用と教育、販売と保守など、顧客の課題に沿った組み合わせを考える
- 協業先・外部サービスの活用:広告、Web、システム、人材、研修、経営支援など、他社の専門性と組み合わせて提供価値を広げる
- 提案タイミング・営業導線の設計:契約時、導入後、一定期間の経過後、更新時、課題の発生時など、提案に適した時期を整理する
- 価格・粗利益・収益モデルの設計:販売価格、原価、粗利益、提供工数を踏まえ、単発販売、継続契約、セット販売、紹介・協業による収益などから自社に合うモデルを選ぶ
- KPI・検証・改善計画:提案件数、成約率、追加受注単価、顧客単価、粗利益、LTVなどの指標を定め、提案結果をもとに改善を回す
注目したいのは、提案のタイミングと収益性の検証まで一続きで設計する点です。属人的になりがちな追加提案を、組織として再現できる営業プロセスに落とし込むことを狙っています。
無料経営相談「社長の分身」を通じて提供
テンプレートは、同社の中小企業経営者向け経営支援サービス「社長の分身」を通じて提供されます。このサービスは経営相談を「ずっと無料」でうたい、売上・利益、商品設計、営業、マーケティング、採用、教育、組織、新規事業、経営戦略など、経営者が抱える幅広い課題を横断的に整理して改善を支援しています。
利用するには、まず「社長の分身」に無料登録し、無料の経営相談を受けます。相談では、既存顧客とターゲットの整理、顧客の課題とニーズの整理、自社の商品・サービス・経営資源の棚卸し、関連商品・サービスや協業先の検討、提案タイミング・価格・収益モデルの整理、顧客単価とLTVを高めるための優先順位付けを順に進めます。そのうえでテンプレートが無料で渡されます。受付は先着順で、受付数に達した時点で終了する場合があります。
同社は「新しい顧客を探し続ける経営」から「既存顧客との関係を深め、価値を提供し続ける経営」への転換を掲げています。新規顧客の獲得に頼りがちな企業や、協業先を生かして提供サービスを広げたい企業、新しい収益源を模索している企業にとって、自社の顧客基盤を見直すきっかけになりそうです。
出典:株式会社ルミッション