医療・福祉

特養の55.8%が赤字に 令和7年度決算、収支差率は△0.8%でマイナス圏へ

特養の55.8%が赤字に 令和7年度決算、収支差率は△0.8%でマイナス圏へ

公益社団法人全国老人福祉施設協議会(会長:大山知子)は、「令和7年度収支状況等調査」の速報値を公表しました。回答のあった特別養護老人ホーム(特養)1,582施設のうち、令和7年度決算で赤字だった施設は55.8%と半数を超えました。収支差率の平均値も△0.8%となり、マイナスに転じています。

特養の55.8%が赤字に 令和7年度決算、収支差率は△0.8%でマイナス圏へ

赤字施設の割合、平成24年度から33.5ポイント増加

調査では、3年ごとに行われる介護報酬改定の年度と直近の年度について、収支差率と赤字施設の割合の推移をまとめています。平成24年度以降の介護報酬改定は、平成27年度を除いてプラス改定が続いてきました。それにもかかわらず、赤字施設の割合は増加傾向をたどっています。令和7年度は55.8%で、平成24年度と比べて33.5ポイント増えました。

収支差率は△0.8%で、平成24年度から5.8ポイント低下し、マイナス圏に入りました。同協議会は、この状況を「事業経営が成り立たない危険水域」にあると位置づけています。

同協議会によると、介護報酬は公定価格であるため、賃金や物価が上がっても経費の増加分を価格に反映させることができません。そのため、施設や事業所の経営努力だけではすでに限界に達しているとしています。さらに、事業の休止・廃止・廃業が急増しており、介護崩壊が始まっていると指摘しています。

収入は増えても、人件費と経費の伸びが上回る

プラス改定で利用者1人1日あたりの収益は増加

介護保険制度では、原則として3年ごとに介護報酬が改定されます。改定は前年度の経営実態を踏まえて行われ、平成27年度の▲2.27%を最後に、その後はプラス改定が続いています。こうした改定を背景に、令和7年度の利用者1人1日あたりのサービス活動収益は13,432円となり、平成24年度と比べて1,531円増えました。

サービスの質の維持に必要な職員配置は保つ一方、コスト比率が上昇

職員配置については、最低基準が「利用者3人に対して介護等職員1人」(3:1)であるのに対し、介護等職員1人あたりの利用者数は1.96対1でした。これまでのサービスの質を維持するために必要な実際の配置は維持できているとしています。

一方で、令和7年度の人件費比率は66.1%となり、平成24年度より3.0ポイント上昇しました。経費についても、次の比率がいずれも増加しています。

  • 事務費比率
  • 事業費比率
  • 水道光熱費比率

これらの結果から、賃金や物価の上昇分が公定価格である介護報酬に転嫁できていない状況がうかがえるとしています。

厚生労働省に「介護報酬の大胆な底上げ」を要望

大山会長は10月8日、厚生労働省の熊木正人老健局長を訪問し、令和9年度介護報酬改定で基本報酬を大胆に底上げするよう求める要望書を提出しました。

大山会長は今回の調査結果を説明したうえで、「事業の休止、廃止、廃業が急増している。介護崩壊と言うべき危険水域に達している」と述べ、事態の深刻さを訴えました。同協議会は今後も、さまざまな方面に向けて現場の厳しい状況を伝えていく予定です。

出典:公益社団法人 全国老人福祉施設協議会

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