大阪市住之江区の「ATCエイジレスセンター」は、館内に「ユニバーサルコーナー」を開設しました。同センターは、大阪市とATC(アジア太平洋トレードセンター株式会社)による実行委員会が運営しています。新コーナーは、多様な人々が快適に移動し、活き活きと暮らし続けられる社会の実現を目指したものです。住宅や公共空間のバリアフリー設備に加え、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)による「空旅のユニバーサルデザイン」の研究開発展示など、「旅・移動」に関するユニバーサルデザインを展示・紹介しています。

介護・福祉機器から「旅や外出」まで視野を拡大
開設の背景には、高齢化の進展や障がい者の社会参加の拡大があります。これに伴い、日常生活だけでなく「旅や外出」の場面でもアクセシビリティ向上への関心が高まっています。ATCエイジレスセンターはこうした流れを受け、従来の介護・福祉機器の展示・発信にとどまらず、交通インフラや観光・移動シーンまで対象を広げました。ユニバーサルデザインを提案し、体感できる場として、新たにこのコーナーを設けています。
想定する利用者は一般の来場者だけではありません。観光・交通事業者、建築・設計関係者、自治体・福祉施設なども対象としており、新たな課題解決やバリアフリー施策のヒントが得られる拠点を目指すとしています。

主な展示内容
JAXAが描く未来の空の旅
JAXAの「空旅のユニバーサルデザイン」展示では、航空機内でのアクセシビリティ向上を目指す研究開発を、パネルや動画で紹介しています。主な提案は次のとおりです。
- 車椅子に対応した機内トイレ「Metamorphic Lavatory(メタモルフィックラバトリー)」
- 移動をスムーズにする着脱式シート「WellVoyage Seat(ウェルボヤージュシート)」
- 視覚障がい者向けの機内食テーブルウェア「TactDine for All(タクトダインフォーオール)」
移動・排泄を支える福祉機器を実機で体験
NPO法人日本アビリティーズ協会は、「移動・排泄を支える最新福祉機器」の体験コーナーを設けています。旅先や観光施設での最新機器の導入事例をパネルで紹介するほか、施設や住宅の移動・排泄環境の改善につながる機器を実際に試せます。
- トイレ機器「マルチプラスシリーズ」:体格や身体状況に合わせ、手すりの位置を上下・左右に細かく調整したり脱着したりできる
- 段差解消システム「ブロックビルド」:特別な工具を使わず、タイルの組み合わせだけで自由な形状のスロープを作れる
- ユニット型水洗トイレ「スマートトイレ」:床下配管工事が不要で、工事が簡単
「マルチプラスシリーズ」と「ブロックビルド」は実機が展示されています。どちらも限られた空間を有効に使え、何度でも再調整・組み直しができるユニバーサルデザイン商品と位置づけられています。

セミナー開催と産業振興拠点としての今後
2026年9月9日(水)には、JAXAの研究開発員やバリアフリー設計の専門家を招いた「旅のユニバーサルデザインセミナー」が開かれ、多くの関係者や来場者が集まりました。今後も「ユニバーサルツーリズム」や「排泄ケア支援」をテーマにしたセミナー・イベントを企画していくとしています。
エイジレスセンターは今後、全国約115社の出展企業の製品認知向上や新製品開発を後押しする産業振興拠点としての役割を強化する方針です。介護・福祉・健康関連分野での事業機会の創出を目指します。あわせて、「ユニバーサルコーナー」からの発信や「エイジレス健康フェスタ」などの催事を通じ、高齢者の健康維持・介護予防・認知症予防にも継続的に貢献していくとしています。
出典:ATC