プロセスの全体像と再建の出発点
支援を受けた企業は、経営が極めて厳しい状況にありました。赤字が続き貸借対照表は債務超過、金融機関への返済もリスケジュールしていました。さらに会計処理が乱れており、経営者自身が現在の財務状況を正確に把握できていませんでした。
「再建を進めるうえで重要なのは、数字が悪いこと自体よりも、現在地を正確に把握することです。現在地が分からなければ、どこから手をつけるべきか判断できません。」と代表の稲田裕氏は語ります。
具体的な改善の道のり
最初の一歩は売上を増やす施策や新しい資金調達ではなく、会計処理の整理と、売上・原価・固定費・借入金・資金繰りなどの把握を通じた財務状態の正確な把握でした。そのうえで、国の経営改善計画策定支援事業の枠組みを活用して、今後の売上計画・利益計画・資金繰り・返済計画を整理しました。金融機関と共有できる形の経営改善計画へと落とし込み、実行可能性を高めました。
最も重視したのは「計画を作って終える」ことを避ける点です。計画策定後も月2回のモニタリングを継続し、計画と実績を比較して次の対応を決定。具体的には以下の項目を確認し、必要に応じて施策を修正しました。
- 売上が計画通り推移しているか
- 原価・固定費に想定外の増加がないか
- 現預金の増減が適正か
- 今後の返済に無理がないか
- 計画のズレが生じた場合の修正内容
この取り組みは約1年半の計画策定を経て実行に移り、その後も継続的なモニタリングを実施。支援開始から約2年が経過した時点で、財務状況・業績・改善計画の進捗について金融機関から前向きな評価を得られる状態へ回復しました。
再建の3つの核心ポイント
1. 正しい数字を把握する
会計処理が乱れたままでは、適切な経営判断は難しい。再建の第一歩は、会社の現在地を正確に把握できる状態を整えることです。
2. 実現可能な改善計画をつくる
理想的な数字を並べるのではなく、実際の売上・原価・人員・返済能力を踏まえ、現実的に実行可能な計画へ落とし込みます。
3. 計画と実績を継続的に比較する
計画だけで終わらせず、毎月実績を確認して原因を分析し修正します。継続的な見直しが経営改善の信頼性を高めます。
「赤字や債務超過に陥っても再建を諦める必要はありません。一方、計画を作って終えるだけでは改善は進みません。正しい現在地を把握し、実行可能な計画を作り、数字を継続して見守ることが重要です。」と稲田代表は話します。
同社はこの事例を、数字を経営者を評価する“通信簿”ではなく、現在地と進む方向を示す“地図”として捉えています。再建の出発点となったのは、特別な裏技ではなく、まず自社の数字を正確に把握することだったのです。
【会社概要】
株式会社稲田財務
所在地:東京都大田区中馬込3-23-14-109
代表者:稲田裕
事業内容:中小企業向け財務コンサルティング
決算書を使わず約3分で自社の財務状態を確認できる無料診断「3分財務チェック」:https://inada-finance-health-check.vercel.app/
会社詳細:https://inadazaimu.jp/
お問い合わせ:info-ifl@inadazaimu.jp
出典・補足
– 本事例は実際に支援した中小企業を匿名化して掲載しています。
– 経営状況・支援内容・期間などは実際の支援内容に基づきます。
– 「経営改善計画策定支援事業」は公的な制度です。
出典:【中小企業の再建事例】赤字・債務超過・リスケから約2年で金融機関評価を改善—鍵は「計画を作って終わらせない」こと/株式会社稲田財務/2026年10月27日
