うつ病・精神疾患による障害年金の申請支援を専門とする社会保険労務士法人 全国障害年金パートナーズ(東京都千代田区、代表:宮里竹識)は、利用者やその家族から寄せられた「お客様の声」を分析しました。分析したのは、専門家による申請支援を知ってから実際に依頼するまでの経緯です。対象は、同法人の「お客様の声DB」のうち、「障害年金受給代行を知ってすぐに依頼しましたか?しなかったとしたら何故ですか」という設問に記載がある525回答で、集計基準日は2026年10月7日です。

525回答のうち257件が「すぐには依頼しなかった」
回答を依頼の時期に着目して分類すると、「すぐに依頼した」は268件(51.0%)、「すぐには依頼しなかった」は257件(49.0%)でした。支援の存在を知ってもすぐには依頼に進まなかった回答が、ほぼ半数を占めた形です。なお、「すぐには依頼しなかった」には、申請できる時期を待っていた回答も含まれます。また、本人と家族が別々に回答しているケースがあるため、割合は人数ではなく回答件数をもとに算出されています。
依頼前に見られた4つの不安・負担
依頼前の不安や負担に関する記述を4つの観点で分類したところ、最も多く確認されたのは「受給対象・受給見通しへの不安」でした。
- 受給対象・受給見通しへの不安:72件
- 信頼性・遠方への依頼の不安:57件
- 費用・報酬への不安:45件
- 体調・連絡することの負担:35件
複数の理由が書かれている回答は、それぞれの分類に含めています。すぐに依頼した回答であっても、依頼前の不安が明記されていれば該当する分類に数えています。記述の中には、他の事務所や自力申請との比較、申請時期の待機なども含まれています。上記の4項目は今回の分析で着目した観点であり、依頼に至るまでの全理由のランキングではありません。また同法人は、自由記述に不安が書かれていないことが、不安がなかったことを意味するわけではないとしています。
具体的な記述を見ると、受給の見通しについては「自分の病状で対象になるか分からずに迷っていた」「依頼しても受給できないのではないかと考えた」といったケースがありました。依頼先については「インターネット上の情報だけで信頼してよいか」「遠方の事務所と電話・メール・郵送で手続きを進められるか」といった不安が記されていました。費用面では「支払いができるか」「費用に見合う支援を受けられるか」という迷いが見られ、費用と受給の見通しなど、複数の不安が一つの回答の中に重なっている例もありました。
さらに、「体調が悪く電話やメールをすることが難しかった」「話をうまく伝えられるか不安で連絡をためらった」との記述もありました。同法人は、うつ病では気力や集中力の低下により、問い合わせという最初の一歩にも負担を感じる場合があると考えられるとしています。そのうえで、情報を掲載するだけでなく、初回の相談で何を聞かれるのか、何を準備すればよいのか、どのような方法で連絡できるのかを、あらかじめ分かりやすく示すことが重要だと推察しています。
同法人が挙げる、専門家が伝えるべき3点
今回の分析を踏まえ、同法人は、支援を必要とする人が納得して判断できるよう、専門家の側が次の3点を分かりやすく伝えることが大切だと考えているとしています。
- 受給の見通し:個別の事情を確認し、現時点で分かることと、追加の確認が必要なことを分けて説明する
- 費用と支援内容:費用の金額・発生する条件・支払時期、支援の範囲、本人に対応してもらうことを具体的に示す
- 相談の進め方:連絡方法や初回相談で確認する内容を事前に伝え、本人の体調や希望を確かめながら進める
同法人は、すぐに依頼しない背景には比較検討や申請時期の待機など、さまざまな事情があると説明しています。依頼までに時間がかかったこと自体を問題とはせず、その人が何に迷い、何を確認したいのかを理解することが重要だという考えです。
代表の宮里竹識氏は、依頼の時期が読み取れた人のうち約半数が、支援を知ってもすぐには依頼に進んでいなかったと説明しました。「自分が対象になるのか」「費用は払えるのか」「安心して任せられるのか」といった迷いについて、本人が一つひとつを自力で解消してから相談に来てもらう形にしてはいけないとの考えを示しています。また、うつ病の人にとっては電話を一本かけることさえ大きな負担になる場合があるとし、専門家に必要なのは依頼を急がせることではなく、納得して判断できる情報を負担の少ない形で届けることだと述べました。今回寄せられた声は、うつ病で苦しむ人が経済的な不安から少しでも解放され、安心して支援につながれる窓口を考える材料にしていくとしています。
分析の方法と留意点
今回の分析は、異なる時期に蓄積された既存回答を再分析したもので、一定期間に一斉に実施したアンケートではありません。各回答の回収日は確認していないとしています。対象者は同法人の利用者・家族等で、病名による限定はありません。分析では、AIを用いて自由記述を内容ごとに分類したうえで、原文との照合や、判断が分かれる回答の再判定を行いました。集計は回答単位で、明記された内容のみを分類しています。割合は小数第2位を四捨五入したものです。また、今回の結果は同法人に依頼した人たちの振り返りであり、依頼に至らなかった人や、障害年金の申請を検討する人全体の実態を示すものではありません。掲載された割合は各分類への言及率であり、不安の強さ、申請をあきらめた割合、受給の可否、依頼が遅れた原因の割合を示すものではないとしています。