医療・福祉

保育者の「言葉」と「心」を見つめ直す 国立あゆみ保育園で第3回不適切保育防止・メンタルヘルス研修

保育者の「言葉」と「心」を見つめ直す 国立あゆみ保育園で第3回不適切保育防止・メンタルヘルス研修

社会福祉法人絆友会は2026年10月16日(金)、東京都国立市の国立あゆみ保育園で、第3回「不適切保育防止・メンタルヘルス研修」を実施した。研修は二つのテーマで構成された。一つは、子どもの立場から見た大人の言葉や表情、日々の保育での関わり方を振り返る内容。もう一つは、保育者自身の心を守るためのコミュニケーションを学ぶ内容である。講義に加え、グループでのディスカッションや体験型のワークが多く取り入れられた。

「子ども役」と「保育士役」に分かれ、子どもの目線を体験。感じたことを共有しながら、日々の保育を振り返りました。
「子ども役」と「保育士役」に分かれ、子どもの目線を体験。感じたことを共有しながら、日々の保育を振り返りました。

子どもにはどう映っているか 言葉と目線を問い直す

前半の不適切保育防止研修のテーマは「子どもの視点と言葉の関係性」。普段何気なく行っている声かけや大人の立ち姿が、子どもたちにどう映っているのかを出発点に、子どもから見た大人の存在感や、目線を合わせて話すことの大切さを学んだ。怒鳴ったり強い言葉で指示したりする関わりが子どもに与える影響についても考えた。そのうえで、「走らないで」ではなく「歩こう」と伝えるといった、肯定的な言葉への言い換えも取り上げられた。

子どもの立場になって大人を見上げる体験型ワークも行われ、普段の表情や声のかけ方を見つめ直す機会が設けられた。参加した先生方は、「自分たちの表情や言葉は、子どもたちにどのように伝わっているのか」という視点から、日々の保育を振り返った。

社会福祉法人あゆみ会 国立あゆみ保育園
社会福祉法人あゆみ会 国立あゆみ保育園

保育者の心を守る「バウンダリー」と「アサーション」

後半のメンタルヘルス研修は「境界線とアサーション」がテーマ。保育現場では、保護者対応や職員同士の人間関係など、さまざまな場面でストレスを感じることがある。研修では二つの考え方が紹介された。相手の感情と自分の感情を切り離して考える「心の境界線(バウンダリー)」と、自分も相手も大切にしながら気持ちを伝える「アサーション」である。

無理な依頼を受けたときに、感謝・事情・代替案を組み合わせて伝える方法など、日常の職場で実践できるコミュニケーションについても考えた。参加者同士では、相手の気持ちを尊重しながら自分自身の心を守る方法をめぐって、さまざまな意見が交わされた。

参加者に語りかけながら、子どもの人権を尊重した保育の大切さを伝える新城講師。
参加者に語りかけながら、子どもの人権を尊重した保育の大切さを伝える新城講師。

講師「危機管理意識を持ちながら質の高い保育を」

講師の新城先生は、同園での研修は今回で3回目となり、いつものように活発なディスカッションと自由闊達な意見交換が続いたと振り返る。前半では、状況によって身をかがめることが難しい場面でも何を大切にすべきかを共有した。肯定的な表現の選び方や声の質など、さまざまな視点から子どもの気持ちに寄り添う関わりを改めて意識する時間になったという。

後半では、相手の言葉を受け止めつつも感情を背負いすぎないためのバウンダリーについて理解を深めた。あわせて、保護者・子ども・同僚など場面ごとに適切な距離感を保ち、相手を傷つけず尊重したうえで思いを伝えるアサーションも具体的に学んだと説明している。この日は地震速報と誤報が重なった日でもあった。新城先生は、日々の保育のどこかに危機管理意識を持ちながら質の高い保育を目指す姿勢を、参加者全員で共有できた研修になったとしている。

次回の第4回で最終回、近隣施設の保育士も参加可能

国立あゆみ保育園が主催する「不適切保育防止・メンタルヘルス研修」は、次回の第4回で最終回を迎える。第4回は2026年11月12日(木)13時00分~14時40分に開催予定。これまでの研修で積み重ねてきた学びをさらに深め、日々の保育に活かしていくための機会と位置づけられている。参加できるのは同園の職員だけではなく、近隣の保育施設に勤める保育士も対象となる。

国立あゆみ保育園は1974年(昭和49年)に開園し、50年以上にわたって地域の子どもたちの成長を支えてきた。周辺に広がる湧水や川、田園などの自然との触れ合いを日々の保育に取り入れている。「本物に出会い、感性を磨く」ことを大切にし、体育・音楽・英語・自然・剣道・絵画など、専門講師による多彩な活動を実施している。季節の野菜の収穫や川遊び、お泊まり保育など、子どもたちが実際に「見て・触れて・感じる」体験を重視していることも特徴だ。

研修を手がける社会福祉法人絆友会は、埼玉県さいたま市桜区に本部を置き、理事長は川名 美雄氏。東京都内で保育施設等を運営するほか、保育士等キャリアアップ研修、不適切保育防止研修、メンタルヘルス研修、防災研修など、保育現場に向けた実践型研修事業を行っている。現場の課題や悩みに寄り添い、“聞いて終わり”ではない、対話と実践を重視した研修を実施している。

出典:社会福祉法人絆友会

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