国立がん研究センターは、川崎医科大学や大阪医科薬科大学などと共同で、膀胱がん組織の中で免疫細胞がどのように集まっているかを解析しました。その結果、がん組織内にあるリンパ節に似た小さな構造が、患者さんの治療後の経過と関連することを示しました。研究チームは、免疫細胞を呼び寄せる分子「CXCL13」を介して、腫瘍内の免疫環境がつくられる可能性も示しています。
469例の組織を多重免疫蛍光法で解析
研究チームは、469例の膀胱がん患者さんの組織を対象に解析を行いました。用いたのは、免疫細胞の種類と位置を同時に調べられる「多重免疫蛍光法」という技術です。
リンパ節は、免疫細胞が集まって体を守る働きを担う器官です。研究チームは、がん組織内にみられるリンパ節に似た構造を「mTLS」と定義しました。mTLSは、評価可能な464例のうち103例(22.2%)で確認されました。
この構造には、B細胞や、がん細胞を攻撃するCD8陽性T細胞などが特徴的に集まっていました。
免疫チェックポイント阻害薬への反応との関係
化学療法の後に、免疫チェックポイント阻害薬による維持療法を受けた患者さんについても分析しました。対象は少数でしたが、mTLSがある場合は治療への反応が良好な傾向がみられました。ただし、この点については今後の検証が必要とされています。
マウス実験で示されたCXCL13の働き
抗がん剤との併用で免疫細胞ががん組織に集積
マウスを使った実験では、免疫細胞を呼び寄せる分子であるCXCL13タンパク質と抗がん剤を併用しました。その結果、がん組織内に免疫細胞が集まりました。さらに、その後に免疫療法を組み合わせたところ、腫瘍増殖の抑制が持続しました。
この結果は、免疫細胞が集まりやすい環境をつくることで、免疫療法の効果を高められる可能性を示しています。
治療法や治療の順番を考える手がかりに
研究チームは、今回の成果が、患者さんに適した治療法や治療の順番を考えるうえでの手がかりになることを期待しています。
研究はJSPS科研費・若手研究(JP24K19661)などの支援を受けて実施されました。成果は学術誌「Clinical Cancer Research」に2026年9月29日に掲載されています。
- 論文タイトル:Multiplex Immunofluorescence-defined CXCL13-associated TLS-like Niches Predict Outcome in Bladder Cancer
- DOI:10.1158/1078-0432.CCR-26-1878