ライオン株式会社、愛知県蒲郡市、株式会社REMAREの3者は、使用済みハブラシを地域の資源として循環させる地産地消型の「ハブラシリサイクル」に乗り出します。目的は、プラスチックリサイクルにおける新たな資源循環の確立です。業界の垣根を越えた官民の連携により、経済合理性を伴うサーキュラーエコノミーを実現し、持続可能な未来を目指すとしています。

課題は回収物の「出口」づくり
資源循環を持続させるには、回収・運搬から再資源化までの費用を含め、各段階が経済的に成り立つ仕組みが欠かせません。中でも、収集運搬費用を賄うために回収物を製品などへ有効活用する、いわゆる「出口」の確立が課題となっていました。
使用済みハブラシは一般家庭から出るため、地域で回収する仕組みが必要になります。そこで、再資源化を担うREMAREの拠点がある愛知県の生活者から回収し、再び使えるものへ再資源化・製品化することで、収集運搬費用など投下費用を賄う収益の確保を目指します。初年度は蒲郡市から取り組みを始めます。

市内10施設に回収BOX、スマートマットで重量を計測
回収BOXは2026年11月から順次、蒲郡市内の公共施設などへの設置を開始し、年内に市内10施設へ導入する計画です。実施内容としては、次の項目が挙げられています。
- 重さで在庫をデータ化するスマートマットを活用した重量計測(2026年度)
- 効率的な資源回収の推進・検討
- 生活者への周知と参加施策の促進
- 再生材の有効な用途開発および技術研究
3者の役割分担
ライオンは、ハブラシリサイクルに関する知見の提供に加え、回収・再資源化に関する技術研究と再生材の用途開発を担当します。蒲郡市は、市内公共施設などへの回収BOXの設置、市民への周知、使用済みハブラシの回収、地域での参加促進を担います。REMAREは、複合プラスチックの再資源化、再生材の開発、成形加工品の製品化、建材・家具・空間分野などへの用途展開を受け持ちます。

残渣も含めた「全量」の資源再利用へ
ハブラシはさまざまな素材でできているため、単一の素材を取り出すことが難しい製品です。ライオンが現在行っているリサイクルでは、物質の比重差を利用して混合物を分ける比重分離によってポリプロピレン(PP)を取り出し、再資源化しています。PPは回収ハブラシの約5~6割で、それ以外は残渣として適正に処理されています。
ライオンはこの残渣を含めたハブラシ全量の資源再利用を目指し、REMAREとの協業のもとで、建材やデザイン性のある造形品へのアップサイクルを推進していく方針です。REMAREは、再資源化が難しい複合プラスチックを新たなマテリアルへと生まれ変わらせ、建築・家具・空間分野での活用を進める企業で、独自の板材製造技術を基盤としています。
検証を経て拠点拡大と販路開拓へ
2026年度は蒲郡市内10拠点に設置した回収BOXで、集積量や運用上の課題を検証します。その結果を踏まえて、拠点の拡大や効率的な収集の仕組みづくりを進める予定です。さらに、集めた資源を建材や什器、インテリアデザイン品などに活用できるよう、用途や販売先の開拓にも取り組みます。ライオンのハブラシリサイクルの知見、蒲郡市の地域とのつながり、REMAREの複合プラスチックの再資源化・製品化技術を組み合わせ、回収から資源の再利用、製品化・販売までを3者で一貫して推進するとしています。
蒲郡市は愛知県南東部に位置し、三河湾国定公園の中心的な位置にある、市内に4つの温泉郷を持つ温泉地です。令和3年にサーキュラーシティを表明し、市民や事業者と連携した数多くのプロジェクトを実施してきました。その取り組みは、第6回エコプロアワードで「優秀賞」を受賞しています。