AIの技術開発とソリューション提供を行う株式会社アラヤ(東京都千代田区、代表取締役:金井良太)は、株式会社奥村組(大阪市阿倍野区、代表取締役社長:奥村太加典)と共同で「災害廃棄物処理機械の選定・配置システム」を開発しました。このシステムが、一般社団法人産業環境管理協会が主催する「令和8年度 資源循環技術・システム表彰(第52回)」で、奨励賞とコラボレーション賞の2つの賞を受賞しました。表彰式は10月21日に東京都港区の機械振興会館で開かれました。
このシステムは、大規模災害のあとに設けられる仮置場で、どの処理機械を何台、どこに置くかを自動で提案します。奥村組が持つ災害廃棄物処理の知見に、アラヤの最適化技術を組み合わせて開発されました。両社の連携が評価され、奨励賞に加えてコラボレーション賞も受けています。なお、同表彰は、資源循環や循環経済への移行に役立つ先進的な技術・製品開発、社会システム、ビジネスモデルなどを対象とする制度です。
- 表彰:令和8年度 資源循環技術・システム表彰(第52回)
- 主催:一般社団法人産業環境管理協会
- 受賞した賞:奨励賞、コラボレーション賞
- 受賞件名:災害廃棄物処理機械の選定・配置システムの開発
- 受賞者:株式会社奥村組(大阪府大阪市)、株式会社アラヤ(東京都千代田区)
- 表彰式:2026年10月21日、機械振興会館(東京都港区)

機械の組み合わせ次第で、処理の期間と費用は大きく変わる
地震や豪雨などの大規模災害が起きると、倒壊した家屋から出る木くずやコンクリートがら、土砂などが大量に発生します。こうした災害廃棄物はいったん仮置場に集められます。そこで破砕機や磁選機、回転篩機などを使って種類ごとに分けたあと、再資源化施設などへ運ばれます。
この工程では、どの機械を何台、どのように並べるかによって、処理にかかる期間や費用が大きく変わります。しかし発災後の現場では、自治体や建設会社の担当者が、経験の少ない状況で処理計画を立てなければなりません。計画づくりに時間がかかると、着手の遅れや費用・期間の増加につながっていました。こうした課題に対し、両社は条件を入力するだけで複数の処理計画案を素早く示せるシステムの開発に取り組みました。
処理期間・費用・CO₂排出量の3つを同時に評価
システムに災害廃棄物の種類や量、仮置場の形や面積などを入力すると、処理期間、処理費用、CO₂排出量の3つが同時に評価され、性格の異なる処理計画案が複数示されます。利用者は、復旧のスピードを優先するか、費用を抑えるかといった目的に合わせて、計画案を比べながら選べます。主な特徴は次のとおりです。
- 処理工程のモデル化:仮置場での保管、破砕、選別、搬送などの工程をモデルにしています
- 約100機種の処理機械データベース:機械ごとの能力をもとに、機種と台数を選びます
- 多目的遺伝的アルゴリズム:処理期間・費用・CO₂排出量を同時に評価し、条件が複雑でも期間や費用をできるだけ抑えられる機械の組み合わせを自動で選びます
- 機械配置の最適化:敷地の形、搬送の動線、安全距離を考慮して、機械の置き場所を決めます
東日本大震災の仮置場の実績データを用いた検証では、処理期間の短縮と、処理費用の約19%削減が確認されました。さらに、環境負荷の少ない災害廃棄物処理機械を選ぶことで、CO₂排出量の低減も見込まれています。
現場の知見とアルゴリズムを融合、実用化に向けて検証を継続
開発にあたっては、奥村組が災害廃棄物処理の工程や機械に関する知見と実績データを提供し、アラヤが最適化アルゴリズムの設計とシステム開発を担当しました。
仮置場の計画では、機械の組み合わせ、台数、配置の選択肢が膨大にあり、しかも「早く終わる」と「安く済む」は両立しにくい関係にあります。そこでアラヤは、複数の目的を同時に扱える多目的遺伝的アルゴリズムを採用しました。これにより、ひとつの「正解」を示すのではなく、期間重視や費用重視など性格の違う計画案を並べて示せるようにしています。さらに、敷地の形や搬送の動線、安全距離を踏まえて、機械を実際にどこへ置くかまで自動で配置します。
アラヤはこれまで建設分野で、BIM/CIMを活用した計画シミュレーションや、点群データを使った自己位置推定(SLAM)、自律AIによる重機の自動運転などに取り組んできました。今回のシステムは、そうした計画・最適化の技術を災害復旧の現場に応用したものです。今後も奥村組と連携し、実際の災害廃棄物処理計画づくりでシステムが使われるよう、機能の拡張と検証を進めていくとしています。あわせて、建設現場の計画や判断を最適化やAIの技術で支える取り組みを続け、災害からの早期復旧と資源の有効利用への貢献を目指します。
出典:株式会社アラヤ