ビジネス

最低賃金、全国平均1,177円 人件費高騰による倒産が約1.7倍—中小企業が今、確認すべき「3つの数字」

最低賃金の上昇と倒産リスクの現状

最低賃金と人件費対策の3指標.png

中小企業が直面している人件費の圧力は、賃金改定の動きとともに強まっています。まず、最低賃金の引き上げが大きな要因です。2026年度の地域別最低賃金の全国加重平均は1,177円となり、前年度比で56円の引き上げです。各都道府県は秋以降、順次新しい最低賃金を適用します。

最低賃金の対象者だけでなく、既存社員の給与バランスを保つため、賃上げを広範囲に検討する企業も増えています。

次に、賃上げに対応するだけの収益力が追いついていない現状が続いています。東京商工リサーチの調査によれば、2026年度上半期(4〜9月)の「人手不足」を要因とした倒産は240件で、2013年の調査開始以来、上半期として最多を更新。うち人件費高騰を要因とする倒産は130件で、前年同期比75.6%増です。資本金1,000万円未満の企業が66.2%を占め、規模が小さいほど影響を受けやすい実情が見て取れます。

財務コンサルティングの稲田財務は、「賃上げそのものを避けることではなく、人件費が上がったあとでも利益とキャッシュを残せる会社になっているか」を数字で確認する重要性を指摘します。

代表・稲田裕氏は、賃上げのニュースだけを追うのではなく、年間で自社のコスト増をどう吸収するかを具体的な数字で検証するべきだと語ります。

中小企業が確認すべき「3つの数字」

賃上げの影響を見極めるには、まず自社の粗利に対する人件費の割合を把握します。人件費が高いだけでなく、粗利に対してどの程度の負担になっているかが重要です。労働分配率は付加価値対比の指標ですが、中小企業では粗利を近似値として考えると理解が進みます。

人件費の増加分をどこで吸収するかも検証します。販売価格の引き上げ、仕入れや外注費の見直し、生産性の向上、販売数量の拡大など、売上が前年と同じでも人件費が増えると利益が減少します。必要な粗利を確保できる価格・収益構造になっているかを確認することが肝要です。

最後に、賃上げ後の利益とキャッシュの見通しを確認します。最低賃金対象者の増加分だけでなく、既存社員の賃金バランス調整や社会保険料の事業主負担も影響します。たとえば年間の人件費が300万円増える企業で、現在の営業利益が400万円しかない場合、条件次第では利益がほとんど消える可能性があります。

このため、「年間で人件費はいくら増えるのか」「その後、営業利益はいくら残るのか」「借入返済後にも現預金は残るのか」を順にチェックすることが推奨されます。

稲田財務は、最低賃金の引き上げを単なるコスト増とみなすのではなく、以下の流れで検討するべきと提案します。人件費増加額 → 必要な粗利 → 必要な売上・価格 → 最終的に残る利益とキャッシュ

「賃上げそのものが悪いわけではありません。人材確保と社員生活の安定には必要です。ただし企業が存続できなければ、賃金を払い続けることはできません」。稲田代表はそう語ります。
「最低賃金や人手不足は自社でコントロールできませんが、粗利・人件費・利益・キャッシュは自社で把握できます。現在地を数字で確認し、価格・人員・生産性・販売方法といった次の打ち手を考えることが重要です」

この考え方をもとに、賃上げを「続けられる会社をつくるための手段」として位置づけています。

会社概要

株式会社稲田財務(東京都大田区/代表:稲田裕/事業:中小企業向け財務コンサルティング)。

決算書を使わず約3分で自社の財務状態を確認できる無料診断「3分財務チェック」:https://inada-finance-health-check.vercel.app/
会社詳細:https://inadazaimu.jp/
お問い合わせ:info-ifl@inadazaimu.jp

取材のお問い合わせ

本件に関する取材・インタビューを受け付けています。代表の稲田裕への取材や、業種・企業規模に応じた人件費上昇の見方について情報提供が可能です(連絡先は上記お問い合わせ先)。

出典

  • 2026年度地域別最低賃金:全国加重平均1,177円、前年度比56円引き上げ。厚生労働省「地域別最低賃金」関連資料
  • 2026年度上半期「人手不足」倒産240件、うち「人件費高騰」130件・前年同期比75.6%増、資本金1,000万円未満66.2%。東京商工リサーチ「2026年上半期『人手不足』倒産」2026年10月5日。

出典:【最低賃金、全国平均1,177円】人件費高騰による倒産が約1.7倍—中小企業が今、確認すべき「3つの数字」/株式会社稲田財務/2026年11月2日

ご意見を投稿する

メールアドレスは公開されません。