損害保険ジャパン株式会社(以下、損保ジャパン)と、ノンデスク産業向けのソフトウェア・AIや人材プラットフォームを提供するX Mile株式会社(読み:クロスマイル)は、業務提携を開始しました。提携の目的は、物流業界が直面する「2024年問題」をはじめとする経営課題の解決と、交通事故の削減です。全国にある損保ジャパンの代理店網から紹介を受けた物流事業者に、X Mileが物流特化型ソフトウェア・AI『ロジポケ』を特別プランで提供します。この仕組みは、2026年11月から全国で始まります。
「2024年問題」で急務となる労務管理と安全運行
「2024年問題」とは、働き方改革関連法に基づき、2024年4月1日から「自動車運転の業務」の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されたことで生じる、物流業界の諸問題を指します。労働時間の短縮によるドライバーの収入減少や運送会社の売上減少、輸送能力の不足などがその例です。業界では、労働環境の改善や法令遵守を含めた労務管理の適正化が急務となっています。さらに、事業の持続可能性を高めるには、安全運行管理を徹底して交通事故を減らすリスクマネジメントが欠かせません。
損保ジャパンはこれまで、自動車保険などを通じて物流事業者のリスクマネジメントを支援してきました。今回の提携もその取り組みの一環です。物流業界のDXに強みを持つX Mileのソリューションを代理店を通じて広く案内することで、物流事業者の「労務管理のDX化」と「安全運行」を後押しし、業界全体の持続的な成長を支えることを目指しています。
代理店が把握する「事故発生状況」を起点に提案
損保ジャパンの保険代理店は、日々の保険契約管理を通じて、顧客である物流事業者の「事故発生状況」を把握しています。そのため、「事故が減らずに悩んでいる」「ドライバーへの安全教育体制が整っていない」といった根本的な課題を抱える事業者を早い段階で見つけられます。そのうえで、安全教育や労務管理の機能に強みを持つ『ロジポケ』を、事業者が最も必要とするタイミングで効果的に提案できるといいます。
一部の代理店で先行して実施した実証では、紹介を受けた事業者から「まさに課題と感じていた領域だった」との評価が多く寄せられました。導入後の定着もスムーズに進む傾向が確認されています。この結果を受けて、全国の代理店網を通じた本格展開が決まりました。
役割分担としては、X Mileが代理店から紹介を受けた物流事業者に『ロジポケ』を提供し、導入サポートも行います。対象の事業者には、損保ジャパンの保険契約の有無にかかわらず、このスキーム専用の特別プランが適用され、初期費用、月額費用、導入支援の各面で優遇を受けられます。これにより、中小規模の物流事業者でも無理なく安全教育の浸透とDX化を進められるとしています。一方、損保ジャパンは全国の支店・代理店網に対してこの紹介スキームを案内・周知します。具体的には、代理店向けの説明会の開催や提案ツールの提供を通じて、物流事業者の課題に応じた適切な情報を届けられる体制を整えます。
『ロジポケ』とX Mileの事業
『ロジポケ』は、物流事業者の経営課題をオールインワンで解決するソフトウェア・AIサービスです。主な機能は次のとおりです。
- 安全教育管理
- 車両管理
- 乗務員台帳管理
- デジタコデータ連携
- 労務管理(勤怠・改善基準告示対応)
- 案件・配車管理
紙やExcelで行われていた煩雑なアナログ業務をデジタル化し、コンプライアンスの遵守とバックオフィス業務の大幅な効率化を同時に実現します。X Mileは「テクノロジーの力でノンデスクワーカーが主役の世界を」をビジョンに掲げるスタートアップ企業で、物流・建設・製造などの領域で働く人々が主役となる産業の課題解決を目指しています。同社が手がける物流・運送・建設特化の人材採用システム『クロスワーク』は、登録者数が全国で120万人を超え、取引事業所数は3万事業所以上にのぼります。導入実績は、上場企業を含む大手企業グループから中小企業まで幅広く、ドライバーや施工管理、整備士など職種に特化した人材紹介サービスも提供しています。
事故を「未然に防ぐ」支援を労務・安全教育の領域へ
損保ジャパンはこれまで、自動車保険による補償の提供に加え、通信機能付きドライブレコーダーを活用した事業者向け事故防止サービス「スマイリングロード」などに取り組んできました。事故が「起きてから補償する」だけでなく「未然に防ぐ」ための支援です。今回の提携は、その取り組みを労務管理・安全教育の領域へと広げるものです。物流事業者が『ロジポケ』で自社の運行・労務データを可視化し、法令遵守体制と安全教育を継続的に強化することで、交通事故リスクの低減につなげます。
紹介スキームは、2026年11月から損保ジャパンの全国の支店・代理店網で一斉に運用が始まります。まずは物流事業者への『ロジポケ』の提供を通じて、労務管理の適正化と安全教育の定着を支援します。あわせて両社は、次の取り組みについても検討を進めます。
- 対象領域の拡大:物流業界に加え、バス・タクシーなどの旅客運送事業者向けソフトウェア・AI『モビポケ』をはじめとするサービスの展開
- サービス連携の高度化:『ロジポケ』と損保ジャパンの事故防止支援サービスを連携させ、事業者の安全管理をさらに高度化
- 共同でのサービス開発:安全教育・労務管理の実施状況を踏まえた、新たなリスクマネジメントの仕組みづくりの共同検討
両社は今後も、ノンデスク産業におけるデジタルトランスフォーメーションと、安心・安全な社会の実現に向けて協業を深めていくとしています。