
「未来に備える」をテーマに2日間開催
応用地質株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:天野洋文)は、2026年10月22日(木)・23日(金)の2日間、室町三井ホール&カンファレンス(東京都中央区)で「OYOフェア2026」を開いた。テーマは「未来に備える」。防災・減災、気候変動リスク適応、インフラ健全性マネジメントの3領域を軸に、同社グループの技術・サービスと、協賛企業の技術やソリューションを披露した。全8社の協賛企業との連携を通じて社会課題の解決を目指す姿勢を打ち出すとともに、展示や来場者との対話から、技術の新たな活用方法や事業化の可能性を探った。
会場には3つの展示エリアが設けられ、グループ各社と協賛企業が展示やデモンストレーション、体験型コンテンツを展開した。各エリアの内容は次のとおり。
- 防災・減災ソリューション:激甚化・頻発化する豪雨被害や大規模地震などへの備えとして、災害リスクの評価・予測、災害時の迅速な情報収集・状況把握、事前防災の取り組みに関する最新の技術・ソリューションや活用事例を紹介
- 気候変動リスク適応:自然共生サイト、環境DNAを活用した生態系モニタリング、洋上風力発電をはじめとする再生可能エネルギー関連技術など、気候変動リスクへの適応と環境価値の向上に貢献する技術・ソリューションを紹介
- インフラ健全性マネジメント:インフラ構造物の点検機器をはじめ、道路陥没につながる路面下空洞の調査、倒木リスクを評価する樹木診断技術など、社会インフラの健全性を評価・管理する技術・ソリューションを紹介
専門家や企業によるセミナーでは、災害対策や気候変動、海洋・地下インフラなど幅広いテーマを扱い、課題への理解を深めながら、多様な技術や知見を組み合わせた解決策を考える場を提供した。
企業の事業継続やデータ活用に関心
会期中は、行政による防災・減災に加え、企業が事業を継続するための備えにも関心が集まった。現場での目視や個人の経験に頼るだけでなく、データを使って状況を把握し、判断の迅速化・高度化につなげる技術への期待もうかがえたという。災害や気候変動、インフラの老朽化など課題が多様化するなか、発生後の対策にとどまらず、平時からリスクを把握し、状況の変化を捉えて適切な判断につなげる仕組みの重要性が改めて認識された。

一社では解けない課題に、協賛8社との連携で挑む
防災・減災、気候変動への適応、インフラの維持管理といった社会課題は複雑さを増しており、一社の技術や知見だけで解決することは難しくなっている。同社は自社グループの技術・知見に他社の技術やノウハウを組み合わせて課題解決を目指す方針を掲げ、その具体化として今回のフェアで協賛企業8社の技術・ソリューションも紹介した。企業間の連携で解決策の可能性を広げるとともに、来場者との対話を今後の技術開発や事業化に生かすことを狙った。特別協賛展示の企業は以下のとおり(エリア・あいうえお順)。
- 株式会社キャドセンター
- KDDI株式会社
- 株式会社JX通信社
- KDDIスマートドローン株式会社
- 一般財団法人 日本気象協会
- 株式会社東産業
- KEYTEC株式会社
- Sintela Limited
なお、セミナーのアーカイブ配信が始まっており、11月9日(月)まで視聴できる。視聴には「名前」「メールアドレス」「会社名/団体名/個人など」の入力が必要で、会期中に登録していない人も、登録後すぐに視聴可能だ。個人の場合は「会社名/団体名/個人など」の欄に「個人」と入力する。

注目セミナー:洋上風力の「送電の生命線」海底ケーブルをどう守るか
同社が注目セミナーとして取り上げたのが、応用地質株式会社 経営企画本部の岸下琢山氏による「リスクを“見える化”する 海底ケ-ブル維持管理の新しいかたち-MNP/CBIサービスが拓く次世代保全-」だ。海底ケーブルを「送電の生命線」と捉え、予防保全の重要性を発信した。洋上風力発電の電力を陸上へ送る海底ケーブルは、発電設備の安定稼働を支える重要なインフラである一方、目視やアクセスが難しい海底に敷設されているため、異常の把握や迅速な点検・修理が課題となっている。欧州の事故データでは、稼働開始後に発生した事故53件のうち、約58%が海底ケーブルに関連していると報告されている(出典:経済産業省「令和4年度 新エネルギー等の保安規制高度化事業(洋上風力発電設備における定期事業者検査方法等の検討)調査報告書」)。セミナーでは、海底ケーブルの損傷リスクや従来の定期点検の課題を解説したうえで、光ファイバーによる常時状態監視と海洋ドローンによる点検を組み合わせた新たな維持管理手法を紹介した。
常時監視から診断までをつなぐCBI
紹介されたCBI(状態基準点検)は、光ファイバーセンシングで温度や振動の変化を継続的に捉え、異常の兆候がある場所を海洋ドローンなどで確認し、その結果を診断や保守判断に結びつける考え方だ。定期点検だけでは捉えにくい点検間の変化を把握し、必要な箇所を重点的に確認することで、予防保全や点検の効率化、設備の稼働停止リスクの低減を目指す。また、海底ケーブルの維持管理にはセンシング技術や海洋調査技術に加え、海域の特性を熟知した地域企業の現場対応力も欠かせないとして、発電事業者、地域企業、応用地質グループおよびメーカーがそれぞれの役割を担う連携モデルも示された。
同社は複数の企業が連携する「マリンネクサスプロジェクト」を通じ、海洋データを活用した社会課題の解決も目指している。海底ケーブルの予防保全を起点に、港湾や漁業、海洋環境、防災などへの応用も視野に入れ、企業間の協業による新たなソリューションの創出を進める方針だ。1957年(昭和32年)5月2日設立の同社は、「人と地球の未来にベストアンサーを。」を経営ビジョンに掲げ、地質・地盤に関する技術を基盤に、防災・減災、インフラ維持管理、自然環境、資源・エネルギーなど幅広い分野で事業を展開している。
出典:応用地質株式会社